波頭亮さん著「AIとBIはいかに人間を変えるのか」を読んで、働くなくてよくなった未来に思いを馳せる

こんばんは現時点の AI よりも思考が短絡的と定評のあるゴッホです。 波頭亮さん著「AIとBIはいかに人間を変えるのか」を読みました。

AI については金融日記で読んだことがあるレベルでした。

週刊金融日記 第242号 サルでも分かる人工知能の歴史とこれからのビジネス、蒲田の安くて美味しい魚介居酒屋、トランプ・ラリーはひとまず終了、職場でホールドアップされました、他|藤沢数希|note

BIについてはそもそもベーシックインカムをBIと略すのを知らないというレベルの無知さでした。

著者である波頭亮さんは、wikipediaによると

 経営コンサルタント、経済評論家。経営コンサルティング会社社長

とあります。

 ユニバーサルバンキングに興味を持って都市銀行に就職するも、描いていた銀行像と実際の銀行との違いを肯定的に受容できずわずか1ヶ月で退職、その後は自然科学、思想、哲学、経営戦略などあらゆるジャンルの本を読んで勉強に励みながら、家庭教師、テニスコーチ、コンピュータのプログラミング、地図の作成といったアルバイトを転々とするフリーター生活を送る。

そんな折バイトで訪れたマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社に興味を持ち、1982年にインターンとして入社。

 というかなり変わった経歴で、そこから独立して社長をやられるくらいなので、できる人はどんな環境でもやっていけるのだろう。

 

そんな波頭さんが、AIとBIについてそれぞれ丁寧にこれまでの歴史と今後の予想を整理し、最後にはAIとBIが合わさることで、人間は働かなくて良い未来がくるという論説を展開する。

彼はAI、BIについては過去にも本を出していたようで自分の著書も含め30以上の参考文献を引用しながら、これまでのAI・BIの歴史、現状のコンセンサスについて丁寧に解説がされる。

AIについては、ざっくりとまとめると今後は知的作業はAIに置き換えられ、物理的な仕事もロボットの発達により人間がつけ入るスキはなくなるだろうということ。

BIについては、社会における再配分の仕組みとして今後広まるだろうということ。

そして、AIとBIの両輪があって初めてユートピアが実現するという主張がされる。

BIなしでAIだけが発達した場合はAIにより生み出される富は全て資本家が独占するため、労働者はただ単にお金が稼げなくて飢えてしまうディストピアが待っているというのだ。なるほど、確かにそうかもしれない。

そして、AIとBIの発達により、人類は史上初めて生きるため・食うために働かなくて良いフェイズに到達するという。

産業革命以前は生存するために働いてきた。産業革命以降は生存+趣味など暮らしを豊かにするために働いてきた。シンギュラリティ以降はもはやお金を稼ぐ以外の目的で働くことになると言う。そんな時代が実現したとして、ぼくたちは何をして暮らしたらいいのか?いま、お金がもらえなくても楽しくてやっている仕事をしている人はそのまま生きていけるだろう。だが、お金のために働いている人は自我が崩壊してしまうかもしれない。

最後に、この本にはブロックチェーン技術の発達による貨幣経済の衰退については全く触れられていなかったが、過去に紹介した「信用の新世紀」で描かれていた未来では、貨幣という概念が存在せず、仕事はAIとロボットが行ない、人々は贈与経済にして活動を行っていた。

「信用の新世紀 ブロックチェーン後の未来」を読んで貨幣経済が衰退した未来を想像する - ゴッホの備忘録

本書ではAI・BIの両輪で人類は新たなステージに到達するとあるが、AI・BI・BCの三軸により、生きるために働かなくて良い時代に到達するのかもしれない。

AIとBIはいかに人間を変えるのか (NewsPicks Book)

AIとBIはいかに人間を変えるのか (NewsPicks Book)