「お金2.0 新しい経済のルールと生き方」読書感想

こんにちは、仮想通貨童貞のゴッホです。

佐藤航陽さん著の「お金2.0」を読了したのでレビューを書きたいと思います。

上記の通り、仮想通貨について勉強しようかと思って手に取りました。

仮想通貨については、とても遅れていて、触れたことすらなかったです。

日々Twitterのタイムラインを眺めているとあっちの世界で何かすごいことが起きているなだろうなということを漠然を感じていました。

仮想通貨って投資対象という認識があり、あれだけボラティリティが高いものに投資するのは時間的にも精神的にもきついなと思って避けていました。

そこに、Gunosy、Peymoを運用するAnyPayの代表を務められている木村新司さんのこのツイートを見かけました。投機じゃないという言葉に仮想通貨へ触手が動きました。

ちなみに、木村さんは2007年に創業したアトランティスを2011年グリーに売却後、グリーで海外広告事業部を統括、Gunosyの投資家として関与し2013年から共同最高経営者、2016年6月にAnyPay創業と数々の企業を創業し成功に導いてきた日本のポール・グレアム的な存在だ。AnyPayでは仮想通貨を利用した資金調達ICO(Inticial Coin Offering)のコンサル業をやられており、仮想通貨の第一人者とも言えます。

時を遡りますがLINEの執行役員田端信太郎さんのブロックチェーン技術に関するツイートが頭に残っていました。

インターネット以来の発明だと言われて久しいブロックチェーン技術ですが、何がそんなにすごいのか分からずにいました。

これは何か本でも読んで勉強したいなと思い始めたところに、

このツイートです。これを見て即買いでした。

読んでみて思ったのは、木村新司さんのこのツイートは誇張ではありませんでした。

2018年一発目から今年のベストに出会ってしまった、そんな衝撃を受けました。

前提知識がない読者にもわかりやすい平易な表現で書かれており、とてもわかりやすかったです。

とりあえずAmazonで買って実家の両親に送りつけました。

仮想通貨って何だかよくわからないけどすごそうってもやもやしているみなさんは是非読んでみてください。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

■著者プロフィール

本の内容の前に著書の佐藤航陽さんをご紹介。株式会社メタップスの創業者で現在もCEOで本書の中にも登場するが、

・企業のマーケティング支援

・オンライン上での決済事業

・時間を売買できるタイムバンク

をやられており、前者2つの事業から人はなぜお金を払うのか?人の欲望とは何かという知見を蓄積されており、それを活かしてのタイムバンク創業、本書の執筆となっている。

早稲田大学在籍中の2007年に創業されたとのことなので、これまでの10年、相当な知見が溜まっていたのだろう。内容もとても濃いものだった。

■編集者プロフィール

幻冬舎編集者の箕輪厚介のキレキレのツイートがよくタイムラインに流れてきていた。

彼は「お金2.0」以外にも「多動力」「ネオヒルズジャパン」「悪意とこだわりの演出術」でAmazon総合1位を獲得しているということで売れっ子編集者の様だ。

幻冬舎といえば、最近クラウド・ファンディングサービスのCAMPFIREとの共同出資で「エクソダス」という個人が出版できる会社の設立に合意したことでも話題になった。CAMPFIRE×幻冬舎 出版業界を改革する共同出資会社設立に関するお知らせ - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

この件も本書と密接に関係しているのだろう。この本を読んだ今ならわかる。彼らには以前の僕には見えていなかったものが見えていたのだ。

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■一貫して語られる分散化

前置きが長くなったが本書のうち印象的だった部分を紹介する。

タイトルにもある通り「お金」をテーマにしているが、大部分で語られるのはお金により形づくられる「経済」についてだ。そして、どの部分でも共通するのは「中央集権化」から「分散化」である。

分散化は仮想通貨の最大の特徴だが、仮想通貨以外に今世界中で伸びているシェアリングエコノミー(UberAirBnb、メルカリ)や評価経済(YoutuberやインフルエンサーとつながるSNS)も分散化の大きな流れとして紹介されている。

誰もがスマホを持つ時代になって、瞬時にスマホでインターネットにアクセスできるのが当たり前になった。中央に位置する代理人を通さずに個人と個人をつなげるサービスが成功しているとのことだ。なるほど確かにそうだ。現代のトレンドは分散化の様だ。

そして、シェアリングエコノミーが最も進んでいるのは中国らしい。

確かに、QRコードで物乞いするホームレス、無人コンビニ、乗り捨てられた大量の自転車など異様な光景をタイムラインでよく目にする。

いかに中国のシェアリングエコノミーが進んでいるかの解説は本書に譲りたいが、もう2度と中国には追いつくことはできないんだなと思うと少し切なくなる。

逆に言うと、ポストシリコンバレーがある世界最先端の先進国から近距離にある日本は遣唐使を送っていた昔の様にコバンザメ戦法で世界で再び輝くチャンスがあるかもしれない。

■経済の民主化

このままさらに分散化が進むと何が起こるのか。経済が民主化が当たり前になるらしい。

ブロックチェーン技術により、通貨を生み出すのは政府の専売特許ではなくなり、誰でも経済圏を生み出せる様になる。ユーザーはどの経済圏に参加できるか自由に選べるようになる。

よくよく考えるとすでに筆者も民主化された経済圏を選んでいた。

今まさにやっていることだが、Amazonで「お金2.0」を買いTwitterで紹介したりブログを書く。そうして読んでくれた人の何人かは興味を持って「お金2.0」を購入する。

そのうちの数%が紹介料として筆者にAmazonポイントという仮想通貨で支払われる。これはAmazon経済圏でしか使えないものだ。

ブロックチェーンの登場により、AmazonのようなポイントがあるECでなくとも独自の仮想通貨(トークン)を発行することが可能となる。トークンを発行し、流通を作り、経済圏を構築することが可能になる。

■資本主義から価値主義へ

経済がコモディティ化すると何が起きるか。様々な主体がトークンを発行し、経済圏を築く。流通の媒体がお金だけではなくなるので、お金の価値が相対的に低くなる。

資本主義では価値がお金に変換されて初めて流通する。現状の資本主義ではお金にはならないけど価値があるものはたくさんある。

例えば、NPOなどはお金にはならないけど多くの人が価値があると思っている。これらの事業もトークンにより独自の経済を築くことができるようになる。

これまではお金にならなかった価値もこれからはトークンの発行によりお金に変換できるようになる。資本から価値へというわけだ。

この話題については、ポール・グレアムの「ハッカーの画家」の中の「富の作り方」という章でも語られている。残念ながら英語原文しかないのだが。

How to Make Wealth

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち

価値主義の事例として、本書の中でお金を失うことは怖くないけどユーザーを失うのが怖いYoutuberが挙げられる。これはTwiterの世界でも同じだ。

・マネタイズしないツイッタラ

例えば、美容クラスタで絶大な人気(2018年1月8日現在、11万フォロワー超え)を誇るはげまして成宮(@hiragana_yome)さんは様々な美容法や美容グッズ・コスメを紹介しているのだが、決してアフィリエイトリンクを貼らない。彼女ほどのフォロワー数がいればアフィリエイトからの収入だけで生きていける気がする。

もしかしたらアフィリエイト収入より、リンクを貼ることによるフォロワー離れを恐れており、目先のお金よりもフォロワーからの反応に価値を感じている好例かもしれない。

・もし金融日記コミュニティが経済圏を構築したら

金融日記というメルマガがある。恋愛工学でその名をはせたメルマガで内容の半分は読者からの投稿で成り立っている。熱心な投稿者も多く、投稿のクオリティは非常に高い。投稿者に報酬が支払われることはなく、メルマガ料金は全て主催者の藤沢数希さんに支払われる。

なぜ彼らは一文にもならない投稿を続けていたのか?それは、投稿することにより読者に知見を共有すること、藤沢数希さん本人からフィードバックをもらうこと、メルマガ内で知名度が上がりハンドルネームが認知されることにお金以上の価値を感じていたからに他ならない。

本書で語られる価値主義をこのメルマガに適用するなら、藤沢数希さんが独自のトークンを発行し、投稿内容に対して読者が評価し、その結果に応じてトークンを配る、ということも考えられる。

近い未来、オンラインサロンやメルマガなどのコミュニティは上記の様な形態で運営されることになるかもしれない。

■近未来な事例紹介

 本書で紹介されている、「これこそ未来だなー!」と思った事例を紹介したい。

一貫して語られていた分散化にAIによる自動化が加わると「自律分散型」というコンセプトが起こり、あらゆる産業にパラダイム・シフトをもたらすらしい。

シェアリング・エコノミー、ブロックチェーン、深層学習、IOTなどは未来からみると自律分散型の仕組みを実現するパーツに過ぎなかったということになるかもしれない。

自律分散型の仕組みとは何なのか。本書で紹介されていた印象的な事例を紹介する。

・AIとブロックチェーンによる無人ファンド

Numeraiというプロジェクトがある。1万人以上の匿名データサイエンティストを仮想通貨で雇い、投資モデルをアップさせる。そしてそのモデルで運用して成果を上げた場合、貢献度に応じて独自のトークンで報酬が支払われるというのだ。なんという未来だ。

ビットコインで雇われた匿名の7,500人が「頭脳」となるヘッジファンド「Numerai」|WIRED.jp

・中国の無人コンビニ

BingoBoxという無人コンビニが中国に存在する。

入り口は電子施錠されており、WeChatのアカウント認証をしないと入れない。

スマホでスキャンして会計が完了するのだが、万引きしようとしても入り口が開かないので出られない。

それだけでなくSNSスマホ決済に個人の信用スコアが紐付いているので、悪事を働くと信用スコアが下がり、SNSスマホ決済が使えなくなる様だ。中国はほぼ100%スマホ決済なのでこれは実質生活できなくなるに等しい。

なんて進んでいるんだ!中国!日本は完敗どころか完全に周回遅れだ。

中国のBingoBox(繽果盒子)、無人コンビニ向け最新AIテクノロジーを公開 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

■終わりに

いかがでしょうか?未来はすぐそこにやってきています。

10年後には現金以外の決済手段や日本国が作った資本主義以外の経済圏に参加するのが当たり前になっているかもしれません。

本書の中でも「トークン・ネイティブ」という概念が紹介されますが、その名の通り生まれたときから仮想通貨が当たり前だった世代です。

彼らと僕たちではものに対する感じ方が全く違うことになっているかもしれませんね。

この価値主義や仮想通貨などの概念はこれまでになかったものなので既存の資本主義の概念で理解することは難しい様です。

資本主義とは別の経済圏がもっと一般的になるとき、仮想通貨童貞のままだとこの概念をうまく理解できないし扱うこともできないかもしれません。

ということで、まずは仮想通貨童貞を捨てたいと思います。一線を超えます。向こうがダークサイドなのか、こちらがダークサイドだったのかは行ってみないとわかりませんが、もしダークサイドだったら戻ってきます。

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海外仮想通貨取引所 BINANCE(バイナンス)の開設方法、使い方 : 金融日記

並行して、関連書籍を読んでいこうと思います。次はこのへんかな…

アフター・ビットコイン: 仮想通貨とブロックチェーンの次なる覇者

なめらかなお金がめぐる社会。 あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。