「山本義徳業績集8 筋肥大・筋力向上のプログラミング」読書感想

こんにちは、自称筋トレ中級者のゴッホです。

山本義徳博士の「筋肥大・筋力向上のプログラミング」を読了しました。

今まで自分が持っていた筋トレの常識をいくつも覆してくれました。いくつか先行してTwitterでつぶやいたのですが、博士ご本人にRTして頂いたこともあり、多くの反響がありました。

 今回は本の紹介も兼ねて、印象的だった内容をまとめたいと思います。

■著者プロフィール

筋トレ界ではとても有名な山本義徳博士だが、改めて紹介したい。

Wikipediaによると、1991年からボディビルダーをやられている大先輩だ。ボディビルダー転向前も剛力で名を知られており、原宿のスポーツ用品店でのベンチプレス大会で優勝しまくっており、非公式だが最高記録は260kg。

260kgという数字だけでとんでもない化け物であることが覗える。

ダルビッシュ有のトレーナーであることでも有名で度々ダルビッシュ選手のTwitterでもRTされている。

早稲田大学政治経済学部出身ということで博学でもあり、彼の著書は様々な科学的な論文をエビデンスした理論となっており、脳みそまで筋肉でできている方が書いた本とは一線を画する。

本書も65もの論文を引用して書き上げられており、世界最先端の筋トレ方法を学ぶことができるありがたい一冊だ。

山本義徳 - Wikipedia

■筋トレのやりすぎはNG

細かな理論は本書に譲るとして、ハードすぎるトレーニングは逆効果らしい。

筋肉の発達に必要な刺激は、現在の筋力を100としたら101の刺激を与えれば筋力は発達する。101さえ超えていれば、120やろうとも150やろうとも同じらしい。

これは筋トレはやればやるほど筋肉が大きくなると思っていた筆者からすると衝撃だった。むしろ、何日も筋肉痛が続くようなトレーニングは明らかにやりすぎで、逆効果になってしまう様だ。

関連して、75分以上トレーニングを行うとテストステロンのレベルが下がり、コルチゾルという筋肉を分解する悪いホルモンが出てしまうので1時間くらいでトレーニングを終えたほうがいいらしい。

■1時間のトレーニングで101の刺激を与えるには

101の刺激はどうやって与えればいいのか。これが結構難しい。本書では完璧に追い込むことができるなら、1セットでも101の刺激を与えられることができるとある。

ベンチプレスをしていると、もう挙がらなくなってつぶれてしまうことがある。これが肉体的な限界なのだが、1人きりのトレーニングでここまで追い込むのはなかなか精神力がいる。

・第三者を利用する

1番良いのはトレーニングパートナーを見つけることだろう。人が見ている前だといつも以上に頑張れる。だけど、毎回誰かとトレーニングするのは現実的ではないかもしれない。

次に有効なのはSNSを利用することかもしれない。トレーニングした記録をTwitterなどにアップする。人に見せるので何もしないより気合が入る。ただ、人に自慢するために虚偽報告をしたり、チーティングをしたりしては本末転倒なので注意が必要だ。

そもそも、筋トレは回数に現れない部分がある。ベンチプレスでも身体につくまで下ろしたかかどうかとかネガティブをゆっくり下ろしたかどうかで同じ回数でも筋肉への刺激はまったく違ってくる。

・ゲーム感覚でやる

「残酷すぎる成功法則」のTipsの中にゲーム感覚で取り組むと人はいつも以上に頑張れるというものがあった。

「残酷すぎる成功法則」読書感想 - ゴッホの備忘録

筋トレも同様だろう。ゲームに見立てる。ルールは簡単だ。前回トレーニングの自分を越える。

それには筋トレの記録を外部メディアに記録する必要がある。筆者はアプリなどを使っていたがGoogleスプレッドシートに記録するのが一番見やすいという結論に落ち着いた。以下の様な感じで部位によってシートを分けて記録している。

*重量は1年後のイメージです

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■高重量低レップ/低重量高レップの使いわけ

 重い重量を少なくやった方がいいのか、軽い重量をたくさんやったほうがいいのかについての回答も本書で用意されている。答えは「部位による」だ。

・速筋が多い:高重量・低回数

・遅筋が多い:低回数・高回数

・羽状筋:高重量・低回数

・ 紡錘状筋:低回数・高回数

それぞれの解説を簡単にしたい。

・速筋

瞬間的に力を出すことに優れた筋肉で大きな力を出すことができる。

・遅筋

持久力に優れた筋肉である。

下記にネットで拾った早見表を張っておく。

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引用元:http://fitness-lover.net/body/fast_twitch-slow_twitch/

・紡錘状筋

平行筋とも言われ、筋が縦に走っている筋肉である。

力こぶの上腕二頭筋、他には大胸筋や広背筋などが代表的である。

・羽状筋

筋線維が斜めに走っていて、平行筋に比べて線維が短い。

太もも前面の大腿四頭筋、腕の後ろの上腕三頭筋、ふくらはぎの腓腹筋、肩の三角筋が代表的な筋肉である。

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引用元:https://www.alive-well-style.com/2008/04/04/musule-basic-3/

・具体例

本書で紹介されている例は以下である。

上腕三頭筋:速筋が多いので高重量低レップでやった方が効果がある。

上腕二頭筋:紡錘状筋なので低重量高レップでやったほうが効果がある。

ヒラメ筋:遅筋が多いので 低重量高レップが良いが、波状筋のため高重量も挙げられ、良い反応をする。

本書には書いてなかったが上記から筆者が類推するに、下記も該当するのではないか?

広背筋:速筋・遅筋の比率は同じだが、紡錘状筋のため低重量高レップ

大胸筋:紡錘状筋であるが、速筋の割合が多いのでどちらでもOK

三角筋:やや遅筋多めだが、波状筋のため高重量低レップ。ただし方は痛めやすいので過度な負荷は注意

■セット数

結論だけ紹介すると

1 エクササイズ につき追い込んで行う場合は1~ 2セット。追い込まずに行う場合は4セット前後を目安に、となります。

 とある。これを受けて筆者は「これは追い込めたな」というときは2セットで終了するようにしている。具体的には物理的に挙がらなくなるまで追い込めた時である。

そうでない時、即ち身体の限界よりも前に精神の限界が来てしまったときは3セット行うようにしている。

■インターバルのとり方

インターバルを物理的刺激と化学的刺激を与える場合で色々変わってくるらしいが、筆者は下記の結論だけをメモって実践している。

目的が筋力向上や筋肥大の場合、肩や腕などの小さい筋肉では 2 ~ 3 分、背中や脚などの大きい筋肉では4 ~ 5分のインターバルを取るのが心肺機能の回復も含め、現実的だ と言えるでしょう。

■最適なトレーニングの頻度

 こちらも結論だけ紹介しよう。

・トレーニング を ハードに行う場合 は 各 部位 を 中 4 ~ 5 日 程度 で。

・あまりハードにやらない場合は週2回。

・週 1 回 の 刺激 では 頻度 が 空き 過ぎ かも しれ ない。 

筆者は これまで3分割法(胸・背中・脚)で各部位週1回でやっていたのでこれまた衝撃だった。本書で2分割法、3分割法、4分割法の場合での適切なトレーニング頻度が紹介されている。

■終わりに

いかがでしょうか?今回紹介したのは本書の内容のごく一部で、停滞期の突破方法や化学的な刺激の与え方など様々な筋肥大・筋力向上に役立つ方法が世界中の科学者の論文からのエビデンス付きで紹介されています。

今まで自己流やYouTuberから筋トレ方法を模索してきたトレーニーの方は一度本書を読んでみて科学的に論証されたトレーニング方法を学び、自分のトレーニング方法を見直してみるといいかもしれません。

 
ちなみに、先日「ウェイトトレーニングのテクニック」という新刊が発売され絶賛読書中です。こちらも合わせて読むとトレーニングが捗るかもしれんません。