サピエンス全史読書感想①

サピエンス全史を読んでいる。金融日記で紹介される少し前にサウザー先輩も面白いと言っていたのでこれは即買いだった。
構成は猿が立ち上がったアウストラロピテクスの時代から石器時代、農耕時代と時代を紡いでいく。
 
石器時代で一番衝撃だったのは、歴史の授業で原人にはアウストラロピテクスネアンデルタール人クロマニヨン人北京原人ホモ・サピエンスなどがいると習い(正確には記号として覚えただけで意味なんて誰も理解してやしない)その順番の通りに進化した様なイメージを持っていた。
よく見る下記の様な図が勘違いの原因だと思う。

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だが実際には、下記が正しいと語られる。

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ネアンデルタール人(我々ホモ・サピエンスよりも体格がしっかりしていて火も扱えた)は馬に対するロバの様な関係で同時期に存在したと記述されている。
我々ホモ・サピエンス東アフリカに、ネアンデルタール人はヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアに分布していた。wikipediaによると彼らの男性は身長165cmで体重80kg程だったらしい(マッチョだ!)
一度我々ホモ・サピエンスネアンデルタール人のエリアに攻め入った際には体格が勝るため打ち負かされて撤退している。再度侵攻した際ーおよそ2万年前ーには絶滅させてしまった。現代の戦争の比ではない大量虐殺だ。ネアンデルタール人と我々は子供を作ることができたらしい。ヨーロッパ人のDNAには6%ほどクロマニヨン人のDNAが含まれていることが最近の発見として紹介される。
しかし、屈強なクロマニヨン人をなぜ我々ホモ・サピエンスは打ち負かすことができたのか。その鍵は「認知革命」だった著者のユヴァル・ノア・ハラリは語る。
我々ホモ・サピエンスクロマニヨン人の決定的な違いは複雑な言語を話せることだった。それにより我々は「虚構」ー神々の存在だったり、先祖の魂など空想上の物事を共通の話題とすることで群れを超えて協力できた。一方のクロマニヨン人は複雑な言語を操れないので猿と同じく群れ(せいぜい〜150人程度)でしか協力できない。どんなに屈強であっても数の暴力には抗えない。そして複雑な言語を操れるホモ・サピエンスは戦い方も議論できた。数百数千人単位でホモ・サピエンスクロマニヨン人を圧倒してついには滅ぼしてしまった。一部は遺伝子の中に取り込んで。
我々を圧倒的優位にした「虚構」はこの現代においても生き残っている。「お金」、「国」、「法律」、「会社」として。

 

ダブルマリッジ読書感想

橘玲さんの新作小説「ダブルマリッジ」を読了したので記憶が鮮明なうちに書き残したい。

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久々に寝る間を惜しんで読んでしまう小説に出会った。電車・トイレ・風呂など少しの時間でも貪る様に読んでしまう。
終わりが近づくにつれて少しでも長く続けばと丁寧に読んでしまう。そして読了後に訪れる大きな喪失感ー。
 
商社勤務の妻子ある主人公がある日戸籍を調べたところ、見知らぬフィリピン人女性と婚姻関係にあることが発覚する。
主人公と娘の視点を交互に入れ替えながらストーリーが進みつつ、婚姻制度の解説が入る。
フィリピンで日本人と関係を持ったフィリピン人女性とその子供に日本国籍取得させることを生業とする国籍ブローカーも出てきて様々なスキームが紹介される。

「戸籍が修正されると、それに基づいて、子どもが幼い場合は母子の、二十歳以上なら子どもの日本滞在ビザを大使館に請求するんです」鴨川が説明をつづけた。「これは外国人向けのビザではなくて、戸籍上子どもが日本人と推定されることを前提としているので、大使館で領事のかんたんな面接を受けるだけで期間一年程度のビザが発給されます。母子の場合は、母親はフィリピン人ですから「子どもの養育のため」という名目になります。子どもが二十歳未満なら、国籍法によって、半年たつと日本に住所があると見なされて無条件で日本国籍の再取得ができます」

複雑怪奇な法律とその抜け穴を通るスキームを解説しつつ、ストーリが進んでいく仕立ては橘氏の小説では定番化している。

「永遠の旅行者」
取り扱っている法律についてはタイトル通りだが、永遠の旅行者だけは馴染みがないかもしれない。
税金は居住民に課される。居住民の定義は国によって異なるのだが、3つ以上の国を行き来してどこの国の居住民にならず、税金を払わない
パペチュアル・トラベラーに関する話だ。この小説もとても面白いので是非オススメしたい。
ちなみに、永遠の旅行者とタックスヘイブンは堀山という風俗経営者の男が共通して登場する。今回も登場を期待していたが最後まで堀山の名前は出てこなかった。ただ、フィリピンの空港で怒鳴ってた日本人が堀山を連想させたが…
 
これから結婚を考える人、既に結婚を知る人にとっては婚姻精度を学ぶ良い教科書となるだろう。また、物語の半分はフィリピン、それもスラムで展開される。読者にフィリピンのスラムの情景を想像させる。
裸の子どもたちが家の前で水浴びしている。店の壁は赤や緑に塗られ、そこに清涼飲料水や携帯電話のポスターがべたべたと貼ってある。2階の窓にはカラフルなTシャツやジーンズが満艦飾にびっしり干してある。
「このひとたち、いったいなにしてるの?」

 筆者はフィリピンに数週間いたことがあるのだが、マニラのマカティの描写などは懐かしい気持ちになった。

 「どこにつれていかれるんだろう……」
 そう思ったとき、車はようやく広い通りに出た。左右に高層ビルが建ち並び、オフィスから出てきた女の子たちが連れ立って歩いている。黒のビジネススーツ姿もいるが、ほとんどはジーンズにTシャツ姿の軽装だ。ところどころ建設途中のビルや、放置されて廃墟になった建物はあるものの、これまでとは雰囲気がまるでちがう。
「なんだ、あんがいふつうじゃん」
夫にとって妻はどこまでいっても他人で利害が一致しなくなれば対立する存在なんだなと感じた。血の繋がりがある親と子、兄弟はどこまでいっても家族なんだな…と。そして東南アジアのあの熱気が懐かしくなった。月並な感想だが読者の参考になれば幸いである。

 
 

SNSアカウントのマネタイズは悪か?

『最も強い者が生き残るのではなく、 最も賢い者が生き延びるでもない。 唯一生き残るのは、変化できる者である』 チャールズ・ダーウィン
 
note販売、サロン運営などSNSアカウントによるマネタイズが昨年から盛り上がりを見せている。同時に批判の声も聞こえた。SNSアカウントで金を稼ぐことは悪ではないと僕は思う。ではなぜ彼らは批判されたのかー
以下簡単のため、金を稼ぐSNSアカウントをSNSワーカーと呼びたい。
 
そもそもSNSワーカーはnoteやサロンが出て登場したわけではない。
マネタイズ方法ははるか昔から存在した。
ただ、ユーザから直接課金するスタイルとは大きく異なっていた。
ユーザが企業に課金し、企業がSNSワーカーにマージンバックする方法だった。
 
SNSワーカーのがマネタイズしているケースを挙げてみる。
 
note販売
サロン運営
LINEスタンプ
ブログのアドセンス収益
記事の執筆
書籍の出版
PR
 
列挙するうちに、お金をもらう相手が個人なのか企業なのか
もらう額が1つの仕事に対して定額/売れた数で決まるか
で分類できることに気づいた。

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こう見ると、note販売、サロン運営などの複数のユーザーから直接課金できる仕組みはこれまでなかった。
そして、ユーザーからのコンサルティングの独壇場だった。
彼らにとって、note、サロンの台頭は脅威だっただろう。インターネットの力を使って複数にリーチできる。
 
今やnoteやサロンを批判する声は聞こえない。マネタイズの主流は右上に移ったということだろうか。